LoRaWANとは?
「LoRaWAN」はLPWA(省電力長距離通信)の一種で、「LoRa Alliance(外部サイト)」が定めた無線ネットワーク規格の名称です。IoT向けの規格で仕様が公開されており、世界的に広く利用されています。
また、LoRaWAN はライセンス不要のアンライセンスドバンド(特定小電力無線、または ISMバンド等とも呼ぶ)で、サブギガ帯と呼ばれる920MHz帯を使用しています。
「LoRa」と「LoRaWAN」の違い
「LoRa」は「Long Range」の略称で、米国のセムテック社の開発した無線の周波数変調方式です。その名のとおり、長距離通信を得意とする変調方式です。
一方、「LoRaWAN」はLoRa変調方式を採用したネットワークの規格です。「WAN」の部分は「Wide Area Network」の略称で、ふたつのキーワードをつなげた「Long Range Wide Area Network」を直訳すると「長距離広域ネットワーク」です。LoRa同様、こちらもネットワーク規格の特長がそのまま名称になっていることがわかります。
※LoRaWAN規格では、変調方式にLoRaではなくFSK(frequency shift keying、周波数偏移変調)を利用することも認められています。
一般的なLoRaWANの特徴
省電力
LoRaWANを使ったデバイスは、3G、4G回線やWi-Fi等を利用した通信方式に比べて非常に省電力です。ボタン電池1個で双方向通信が可能なセンサーもあります。そのため、頻繁な充電作業やメンテナンスが必要ありません。
これらの特徴からセンサー自体も小型のものが多く、大掛かりな設備の設置や維持が必要なくなるため、コスト削減にも大きく貢献します。
長距離通信
LoRaWAN最大の特徴は長距離通信です。弊社で実施した性能実証実験では、富士山の五合目から千葉県柏市の柏の葉キャンパスの基地局までの 123.43km のデータ送信に成功しました。
800MHz帯の帯域を使った携帯電話の通信は、およそ2~5km届くと言われています。性能実証実験は「見通しの良い」という条件下でしたが、LoRaWANは「長距離に特化した」通信方式と言っても過言ではありません。
ノイズに強い
Wi-Fiが使用する通信帯域である2.4GHz帯では、Wi-Fi接続デバイスが密集すると通信が干渉を起こしノイズが発生することがあります。複数のデバイスを使用すると一部のデバイスの接続が不安定になる経験をされたかたも多いのではないでしょうか。
一方、LoRaWANが使用する920MHz帯は、他の無線ネットワークが存在する環境下でも安定的に通信を行なうことができます。通常なら電波干渉が起きてしまう無線設備の入った工場内などでも、LoRaWANを使ったデバイスなら安定した運用をできます。
室内でも利用可能
長距離通信が可能でノイズにも強いLoRaWANですが、コンクリートの壁に囲まれた屋内や地下などでは通信が不安定になり、屋外の共用受信設備ではデバイスからのデータを受信できないことがあります。その場合には「ゲートウェイ」と呼ばれる基地局機器を屋内に設置し、受信設備の強化で対応します。
ゲートウェイは小型・軽量で、無線LANで使うWi-Fiルーターのようなイメージで設置できます。環境に合わせて必要な台数を設置することで、屋内の様々な場所に設置されたデバイスからのデータを受信できます。
センスウェイが提供する LoRaWAN ならではの特長
最大242byteの大容量通信
多くのLoRaWANは、送受信できるデータ量が「11byte」となっていますが、センスウェイの提供するLoRaWANは、データレートを変えることによって最大で「242byte」と、最大で従来の22倍のデータ量で通信を行うことができます。
難しいとされてきた242byteでの通信ですが、弊社の行なった性能実証実験で、東京・台東区のタワーマンションから26.17km離れた柏の葉キャンパスまで242byteのデータ通信に成功しました。
長距離基地局の接続数
ひとつの基地局に対するデバイスの接続数は、数百~数千デバイスの接続に対応することができ、送受信どちらも可能です。長距離、かつ基地局の接続数が多いため、弊社の提供するLoRaWANは安定した通信を実現しています。
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