LPWAとは?
個人から企業まで幅広く使われている無線技術には、長距離に対応している規格であるLTE、4G、5G、近距離向けの規格であるWi-Fi、Bluetoothなどがあります。
他の通信方式と比べて、特性が「IoT/M2M」に非常に適しているため、IoT分野の通信に広く利用されています。
LPWAの3つの特徴
個人から企業まで幅広く使われている無線技術には、長距離に対応している規格であるLTE、4G、5G、近距離向けの規格であるWi-Fi、Bluetoothなどがあります。これらの無線技術とLPWAはどのように違うのか、LPWAの特長を3つの視点で説明します。
通信距離
「Low Power Wide Area」の名が示す通り、LPWAは長距離通信を得意とする規格です。基地局の設置環境にもよりますが、見通しの良い場所であれば、LTEや4G、5Gなどよりもはるかに長い10km単位の長距離通信が可能です。
弊社の行なったLoRaWANの性能実証実験では、富士山の五合目から千葉県柏市の柏の葉キャンパスの基地局まで 123.43km のデータ送信に成功しました。
また、遠距離通信が可能な通信方式はノイズにも強いことが特徴です。障害物、遮蔽物などの影響を受けやすく、一般的に使われている無線の利用が難しいところでも、LPWAであれば通信ができるケースが多く、工場や倉庫などでの活用が広がっています。
消費電力
「Low Power Wide Area」の名が示す通り、LPWAは省電力です。通信回数やデータにもよりますが、ボタン電池ひとつで数年間動作するセンサーデバイスもあります。ボタン電池の容量は200mAhほど。スマートフォンのバッテリーがだいたい2,000mAhだとしても、恐らく1ヶ月もバッテリーはもたないでしょう。
スマートフォンとLPWAの電力消費を比較するのは適切ではないかもしれませんが、LPWAの省電力性をイメージしていただくことはできると思います。
通信速度
LPWAの通信速度は、LoRa方式で最大250kbps程度とされています。一方、Wi-FiのIEEE 802.11acという規格は1Gbpsの速度がでます。実に、約4,000倍程の速度差があり、通信速度だけを見れば、LTE、4G、5GやWi-Fiなどは比べものになりません。
しかし、「通信速度が遅い」ことで、LPWAは「省電力」と「長距離通信」を実現しています。温度や湿度など、数十バイトのデータを定期的に送るだけでよいセンサーデバイスに応用すれば、どこにでも置けるメンテナンスフリーのシステムを構築できます。
LPWAの種類
LPWAの無線通信規格にはいくつかの種類がありますが、大きく分けると、ライセンス不要のアンライセンスバンド(特定小電力無線)と、ライセンスが必要なライセンスバンド(通信キャリア)の2種類になります。
アンライセンスバンド
無線局免許を必要としないアンライセンスバンドは特定小電力無線とも呼ばれ、以下の通信規格が該当します。
アンライセンス系LPWAは、主にノイズに強く長距離通信に適したサブギガヘルツ帯の周波数を使用しています。
■アンライセンスドLPWA
- Sigfox
- LoRaWAN
- Wi-Fi HaLow
- Wi-SUN
- ELTRES
- ZETA
ライセンスバンド
ライセンス系LPWAとは大手通信事業者、いわゆるキャリアが国から免許を受けているLTEの周波数帯を使用しているLPWAです。以下の通信規格が該当します。
■ライセンスドLPWA
- NB-IoT
- LTE-M
- Cat.NB1
LPWAの特徴
主要なLPWAの特徴です。
無線技術 | 周波数 | 特徴 |
LoRaWAN | 920MHz | グローバルでオープンな規格 LoRaアライアンスで規格を協議、アップデート |
SIGFOX | 920MHz | フランスのSigfox社独自規格、1国1社縛り 日本では京セラ子会社が推進 |
ZETA | 920MHz | 中国を中心に展開、基地局の中継(マルチホップ) |
Wi-SUN | 920MHz | 日本の電気メータのスマートメータ化 マルチホップ対応 |
ELTRES | 920MHz | ソニーの独自規格、GPS利用 |
NB-IoT | 700MHz ~2.1GHz |
日本ではソフトバンクがサービス発表 携帯の基地局、空き領域を利用 |
LTE-M | 700MHz ~2.1GHz |
日本ではドコモとKDDIがサービス開始 携帯の基地局を利用 |
LPWAがIoT、M2Mの通信に向いている理由
IoT、M2Mの通信では、とてもシンプルなデータをやり取りします。極端な例えをすれば、温度センサーは「20」といった温度の数値だけ送信できればいいわけです。位置情報を送信する場合はGPSの緯度経度、ICカードを組み込んだシステムの送信データは「ICカード番号」など、IoTで取り扱われるデータは比較的短くなります。
このようにデータを送る側・受け取る側のプログラムが内容を正しく認識してデータを展開できればいいので、送信データそのものは容量の軽いデータであることがほとんどです。
また、IoTでの利用を考えた時、電源を取れない環境で、電池で機器の設置や運用も可能です。LPWAはボタン電池で数年持つと書きましたが、電池交換のコストを削減できるのも大きなメリットのひとつです。そして、運用コスト、通信費も複数のモノを管理したとしても低価格で行うことができます。
LPWAがIoT、M2Mの通信に向いている理由は、これらのIoTに求める通信のニーズと合致しているからです。
今後、IoTやM2Mの分野が発展するにつれて、LPWAの分野も同様に発展していくことは間違いありません。
弊社では、LPWAの中でも広く使われている「LoRaWAN」をご提供させていただいております。
ぜひ、LoRaWANとは?のページもご一読下さい。
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