LPWAとは?
LPWAとは「Low Power Wide Area」の略で、「低消費電力で長距離の通信」ができる無線通信技術の総称のことで、最大伝送速度は100bps程度、伝送距離は最大50 km程度です。
他の通信方式と比べて、特性が「IoT/M2M」に非常に適しているため、IoT分野の通信に広く利用されています。
LPWAの種類
LPWAの無線通信規格には、いくつかの種類があります。
LPWAの種類は大きくライセンス不要のアンライセンスバンド(特定小電力無線)の通信方式と、ライセンスが必要な通信キャリアの無線方式に分けられます。
アンライセンスバンド
無線局免許を必要としないアンライセンスバンドは特定小電力無線とも呼ばれ、以下の通信規格が該当します。
アンライセンス系LPWAは、主にノイズに強く長距離通信に適したサブギガヘルツ帯の周波数を使用しています。
- Sigfox
- LoRaWAN
- Wi-Fi HaLow
- Wi-SUN
- ELTRES
- ZETA
ライセンスバンド
ライセンス系LPWAとは大手通信事業者、いわゆるキャリアが国から免許を受けているLTEの周波数帯を使用しているLPWAです。以下の通信規格が該当します。
- NB-IoT
- LTE-M
- Cat.NB1
LPWAの比較
無線技術 | 周波数 | 特徴 |
LoRaWAN | 920MHz | グローバルでオープンな規格 LoRaアライアンスで規格を協議、アップデート |
SIGFOX | 920MHz | フランスのSigfox社独自規格、1国1社縛り 日本では京セラ子会社が推進 |
ZETA | 920MHz | 中国を中心に展開、基地局の中継(マルチホップ) |
Wi-SUN | 920MHz | 日本の電気メータのスマートメータ化 マルチホップ対応 |
ELTRES | 920MHz | ソニーの独自規格、GPS利用 |
NB-IoT | 700MHz ~2.1GHz |
日本ではソフトバンクがサービス発表 携帯の基地局、空き領域を利用 |
LTE-M | 700MHz ~2.1GHz |
日本ではドコモとKDDIがサービス開始 携帯の基地局を利用 |
LPWAの3つの特徴
現在広く普及している無線といえば長距離に対応している無線規格だと3G、LTE、4G、近距離の無線規格だとWi-Fi、Bluetoothなどがありますが、LPWAとこれらの大きな違いは、「通信距離」、「消費電力」、「通信速度」です。
LPWAのこれら3つの特徴を解説します。
通信距離
「Low Power Wide Area」の名が示す通り、LPWAは長距離通信を想定した規格となっています。「LPWAの種類」でいくつかLPWAの種類を挙げましたが、ほとんどが10km以上の距離で通信が可能です。
弊社の行なったLoRaWANの性能実証実験では、で富士山の五合目から千葉県柏市の柏の葉キャンパスの基地局まで 123.43km のデータ送信に成功しました。基地局の設置環境によりますが見通しの良い場所であれば、かなりの長距離通信が可能です。
消費電力
「Low Power Wide Area」の名が示す通り、LPWAは省電力となっています。通信回数やデータにもよりますが、ボタン電池ひとつで数年間動作するセンサーもあるほどに省電力です。
スマートフォンのバッテリーがだいたい2,000mAhだとして、恐らく1ヶ月もバッテリーは持たないでしょう。一方でボタン電池の容量はだいたい200mAh前後で、LPWAはこれで数年持つというのですから、とても省電力であると言えます。
スマートフォンの電池持ちとLPWAの消費電力を比較するのは不適切ではありますが、LPWAのとてつもない省電力性をイメージしていただけたのではないでしょうか。
通信速度
最後に通信速度です。LPWAの通信速度は、LoRa方式で最大250kbps程度とされています。
一方でWi-FiのIEEE 802.11acという規格では、1Gbps程。実に、4,000倍程の速度差があります。このように、LTEや4G、5Gまた、Wi-Fiなどの方が圧倒的な早さがあります。
しかしLPWAでは、「通信速度が遅い」替わりに「省電力で長距離の通信」を実現していると言えます。トレードオフという言葉がありますがまさにその通りで、通信速度を上げてしまうとLPWAの魅力のひとつである「省電力性」は失われてしまうと考えるべきでしょう。
LPWAがIoT、M2Mの通信に向いている理由
IoT、M2Mの通信では、とてもシンプルなデータをやり取りします。
例えば、温度センサのデータを取得する時、極端ですが、「20」など、温度の数値だけ送信できればいいわけです。位置情報が必要な場合は、GPSの緯度経度を入れたりします。ICカードを組み込んだシステムでは、送信するデータは「ICカードの番号」などといった、比較的短いデータになります。
このようにデータを送る側・受け取る側のプログラムが内容を正しく認識してデータを展開できればいいので、送信データそのものは容量の軽いデータであることがほとんどです。
また、IoTでの利用を考えた時、電源を取れない環境で、電池で機器の設置や運用も可能です。LPWAはボタン電池で数年持つと書きましたが、電池交換のコストを削減できるのも大きなメリットのひとつです。そして、運用コスト、通信費も複数のモノを管理したとしても低価格で行うことができます。
LPWAがIoT、M2Mの通信に向いている理由は、これらのIoTに求める通信のニーズと合致しているからです。
LPWAのこれから
今後、IoTやM2Mの分野が発展するにつれて、LPWAの分野も同様に発展していくことは間違いありません。
弊社では、LPWAの中でも広く使われている「LoRaWAN」をご提供させていただいております。
ぜひ、LoRaWANとは?のページもご一読下さい。
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