環境モニタリングで熱中症対策などまちづくりに活用、 柏の葉エリア広域に設置したIoT温湿度センサー | センスウェイ株式会社

まちづくりのヒートアイランド対策の課題

地球温暖化などの影響を受け、平均気温は年々上昇を続けています。
特に、ヒートアイランド現象が進行する市街地では、アスファルトやコンクリート、ビル間の風通しなどの諸条件により、高い気温になりやすく、熱中症患者が増加しています。

柏の葉エリアは、2000年以降に造成されたニュータウンのため、ヒートアイランド対策は十分検討された都市計画がされていました。
しかし、近年の酷暑に加え、体力が低く熱中症対策が必要な幼児や子供を抱えた住民が多いことから、夏を前にプロジェクトはスタートしました。

柏の葉スマートシティにIoTセンサー設置

柏の葉エリアは千葉県柏市に2005年に開通したつくばエクスプレス『柏の葉キャンパス駅』開業を機に発展し始めたキャンパスタウンです。
住宅、商業施設、オフィス、ホテル、病院、大学、公園等、街のあらゆる機能が約3km圏に凝縮しているため、様々な社会的要素に発生する課題を観測しやすいという特徴があります。

柏市や三井不動産は、その特徴を生かして住みよい街づくりに必要なソリューションを開発するために、様々な企業や、大学などの研究機関、行政まで巻き込んだワーキンググループなどを数多く立ち上げています。

今回、千葉県柏市の柏の葉エリアの約4㎢範囲に気温・湿度を観測することができるLoRaWAN🄬 規格に対応したIoTセンサーを28箇所設置しました。
その内訳は、約500mおきに設置したものが24箇所。その他、学校、病院、商業施設などの重点施設に4箇所。柏の葉エリアは、様々な環境がコンパクトなサイズにまとまっているため、この範囲、密度で設置することで意義のあるデータの取得が期待できます。

これらのIoTセンサーによって集計した気温・湿度データは「柏の葉スマートシティコンソーシアム」が蓄積・分析し、今後展開していく熱中症対策や見守りなどの住民サービスの創出につなげていくものです。

多分野のプレイヤーによる連携プロジェクト

今回のプロジェクトは、AIやIoTプロジェクトの検証を通じてノウハウを共有するために集まる多企業コミュニティ、「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」での課題の整理からはじまりました。
こういった環境モニタリングプロジェクトでは、人通りの激しい市街地や、公共緑地にセンサーを設置する必要があります。
そのため、センサー設置場所への交渉や、電源などの関連設備の整備、データの取り扱いなど、実施以前に様々な課題を解決していかなければならず、計画段階で頓挫するプロジェクトも数多くあります。

しかし、「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」は、2017年に数週間にわたるLoRaWANをテーマにしたハッカソンを開催していたこともあり、コミュニティ内にいる、地権者や設備管理者、行政などを巻き込んだ開発や実証実験の経験がありました。
そのため、今回のプロジェクトでも、それぞれの立ち位置や専門性をいかしてプロジェクトを進めることができました。

今回はプロジェクトでは、センスウェイがLoRaWANの通信環境を配備し、単3乾電池で駆動できる環境センサーR712を提供しました。

センサーの設置場所は、千葉県柏市の柏の葉キャンパス周辺28か所が選ばれました。

IoTセンサーの設置および、データの計測・分析は三井共同建設コンサルタントが行っています。

このような、多分野のプレイヤーの連携が必要なプロジェクトの調整は難易度が高いのですが、この面に関しては2006年から街づくりでの公・民・学の連携を推進してきたUDCK（アーバンデザインセンター柏の葉）がプロジェクト全体の調整を担当しました。

今後の展開について

2019年の8月6日に全28箇所への設置を完了した後、計測したデータをもとに、街づくりの中で効率的なヒートアイランド対策を組み込み、街の緑化箇所の増設や噴水・水景施設の活用などに利用していきます。
また、設備だけではなく、子供の屋外活動や登下校時に、水分補給のアナウンス等、リアルタイムの通知を行うなどのアプリケーションにも今回計測したデータの活用が検討されています。

街づくりは長期的な視座にたって、進めていく必要があります。計画当初から社会状況やライフスタイルの変化に対応できる体制にしていくことで、街全体の住みやすさや価値を保つことができます。そのための蓄積していく必要があるまちのデータ活用にも、センスウェイのIoT技術はいかされています。

センサーの紹介

環境・温湿度センサー R712 / NETVOX
https://www.senseway.net/lorawan-service/item/device/netvox-r712/